親の介護

親不孝物語 #1~親の介護とどう向き合う?~

うちの父の話なんですが・・・。

死に方突然の電話 私の父親は、一人で生活をしている。 その父がお世話になっているケアマネさんから、 先日突然電話があった。 父は8...

一旦手術を受けないと決めた父でしたが、
年末、急に「手術を受ける」と言い出し
岡山大学病院を紹介され
手術のための受診をすることになりました。

なんで?って思ったのですが、
かかりつけの医師から
「手術を受けることで視力が回復する可能性がある」
と説明を受けたようです。

後で聞いたところによると、
手術は現状を維持するためのもので
視力が回復することはない(見えるようにはならない)
手術にもリスクがある

と説明をされていたのですが、
不安でいっぱいで、耳元遠く
判断力が低下した状態の父は

「治る可能性がある」

と勘違いしたようです。

そして二転三転した結果、
結局手術は受けない事になりました。

検査をした結果
腫瘍が思ったよりも大きくて、開頭手術になる可能性が高い。
腫瘍のあるところが複雑に血管や神経を巻き込んでいるため
手術をすることで他の部位を傷つける可能性もある。
心房細動があり、血栓予防のため抗凝固薬を服用しているので、
大出血になる可能性がある。

という事が分かりました。

 

父の葛藤

視力が戻って今の生活を続けられる。

父は手術をすることでそういった期待があったようです。

検査に付き添った時
父はまるで子供のようでした。
以前のような頑固で横暴で
強がりな父はいませんでした。

視力についても
「先生が治ると言ってくれるなら…。」
と人任せな状態でした。

そして、手術をすることに
とても恐怖を感じていたようです。
検査を受ける時にも

とても緊張していました。

最初は目が見えなくなることを受容して
今の生活を出来るだけ続けていくことを選んだ父は
手術すれば可能性があると期待した。
だけど手術が2回目になる父は
その恐怖も分かっている。

治りたいという期待と恐怖

私の看護師の経験上では
入院をするだけでも高齢者の精神的負担はかなり重い

手術を受ける以前にも
入院するという環境の変化だけで
精神的に変調をきたす人は多い。

ましてや手術に対して非常に恐怖を感じている父にとって
今回の入院はどう転ぶか…。

どっちにしても、今と変わらない生活を送ることは
難しい。

父は自分が今の生活を続けられると信じたかった。

そして、医師にそうしてもらいたかった。

悩んだんだろうなぁ

 

私の葛藤 ~親不孝者の私~

だけど、今突き付けられている現実は

・手術を受けない場合、視力は徐々に低下していきいずれは失明する。

・手術をしても視力が回復するとは限らない

・入院、手術をすることで足腰の筋力低下が起きて、ADL(日常生活動作)が低下する可能性が高い

・麻酔、術式による体への侵襲、既往による合併症の高リスク状態である

・入院、手術による環境の変化による認知症などの発生の可能性が高い

私としては、どんな状態になったとしても
父が手術を受けたいというのであれば
それを優先させる。

だけど、それには父が

  • 自分の状態について理解している事
  • どちらにせよ、今迄の生活を改める必要があること
  • 介護認定をしてヘルパーなどの福祉サービスを受ける事
  • 自分で決める事

これらが大事でした。

そしてもう一つ大事な事が・・・。

私が父と一緒に暮らせない事

これをしっかり伝えないといけないと思っていました。

これは、かなり勇気がいりました。

すっかり気弱になっている父に
実の娘はあなたと一緒に住んで介護をする気は全くない
という事を伝えなくてはいけない。

一瞬、父を愛媛の私の家に呼んで
一緒に暮らしている状況を想像してみました。
4月からは三女との二人暮らし。
自分のやりたいことをしながら
三女の高校生活をサポートし、
父の介護をする。

想像しただけでぞっとしました。

父との生活が酷く負担で不快で安心できるものに思えなかった。

そして、そんなことを思う自分に
とてもガッカリしました。
心底・・・。

でも、そんな私でもしょうがない。

私は私の為に生きなおすことを決めたばかりなので、

勇気を振り絞って

「お父さんと一緒には住めない」

そう伝えました。

親の期待に応えない

実の娘がいながらその娘に頼ることが出来ない

そんな事を父に思わせるのが辛いと思いました。

私はまだまだ、父の前ではいい娘でいたいという思いが強く、
そうでないと父に嫌われる
私の根っこにある『いい子でいなければ嫌われる』

そんな思い過ごしを手放す時が来ました。

父の期待に応えられない自分に
罪悪感を抱えながらも
伝えた後はスッキリ気分が良かった。

父を傷つけないように
父の期待を裏切らないように
そうやって生きてきた自分に
一区切りついた気がします。

一緒には住めないと伝えた時の
父の寂しそうな表情は
一生忘れられない。

だけど、正直に伝えた分
お互いが依存しあうのではなく
これから確実に前に歩けると思う。

世間一般でモノを言うなら、
きっと私は親不孝者です。
親を切り捨てるなんて最低だと言われてもしょうがない。

だけど本当の親孝行って何だろうって考えた時

子どもが幸せに生きている事

それに尽きると思うんです。

父に伝えたいのは

「期待通りじゃなくてごめんなさい。」

「だけど、私幸せに生きてるから安心して」

という言葉です。

 

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