うつ症状の一つに
「死にたい」という気持ちに
おそわれる。
っていうのがあります。
精神科病院で勤めている時
何度も自分で命を絶ってしまう場面を
見てきました。
回復して退院した人が
自殺を図って病院に
問い合わせが来ることもありました。
死にたい気持ちは本当か
本当です。
「死にたい」と言われりと
「ウソでしょ」って
否定したくなるのですが、
死にたい気持ちは本当なんですよね。
精神科病院では様々な状況から
「死にたい」という気持ちから
逃れられなくて、
自殺の恐れがある人たちが入院してきます。
包丁で自分の胸を刺した人、
大量服薬した人、
首を吊ろうとした人など
緊急で入院してくることも多々あります。
うつ状態を何度も繰り返す人は
何度も自殺を図ろうとすることもあり、
一見アピールに見えますが
「死にたい」気持ちは本当なんだよね。
だから、
心無い人達から
「弱い人間だ」って言われて
更に自分を傷つけてる。
ただ、本当に死ぬことを望んでるわけじゃない。
死にたいと思うほど苦しい、
辛い、
悲しい。
そんな状況に自分がいるってこと
死にたい気持ちを打ち明けられた時の話
初めて「死にたい」って打ち明けられたのは、
看護学校で教えている時に
受け持っていた学生からでした。
まだ、20歳そこそこの彼女が・・・。
まだまだ将来楽しみな彼女がなんで？
そう思いました。
そう思ったと同時に
「打ち明けてくれてありがとう。
もう大丈夫だよ。よく頑張ったね。」
という気持ちが湧き上がってきて
そう彼女に伝えたのを覚えています。
それから何度か話を聞きながら
見守って過ごしました。
卒業の時彼女は
「先生に打ち明けた時本当の悩んだんです。
怒られると思ってたから。
でも、『ありがとう、もう大丈夫。よく頑張ったね』って
言われて安心しました。」
そう言われました。
私は、彼女のその言葉にびっくりしました。
大したアドバイスもできなかった私が
感謝されてうれしかった
と同時に気が付いたんです。
「死にたい気持ちでいっぱいになっている人は、
死にたいと思う事に罪悪感を感じている。」
看護や心理学の教科書には、
うつ病の人に
「頑張れ」
という言葉を言ってはいけない。
とありますが、
それを実感した瞬間でした。
「死にたい」と思う時
「死にたい」と思うほど
頑張ってきたんだ。
しかも、
「でも、死にたいと思ってはいけない。
そう思う事はみんなに迷惑をかける」
という罪悪感にも同時に捉われてるんだよね。
「死」は悪い事じゃない
「死にたい」って言うと、
よく「罰当たり」とか
「そんなこと言うもんじゃない」とか
否定されることが多いと思う。
なんでだろうね。
という私も、
精神科で働いている間
「死」に対しては随分逃げ腰だった。
病棟で患者さんと話すときの
NGワード的な扱いでした。
私の中で
「看護師として患者さんを死なせてはいけない。
そんな看護師は看護師として失格だ」
そう思っていたからなんですよね。
病院なので仕方がないんですが、
病気を治して元気で帰ってもらう事が目的なので。
でもね死ぬことが悪なら
人間みんな、誰一人例外なく
「死」に向かう私たちは
全員悪なんですよね。
悪人が悪人を責めるとかどうなん？？？
今更、言っちゃいけないとか、
当たり前のことを
わざわざ問題だと
取り上げて何やってるんだろう。
「死にたい」と思う事は自由
私は、どんな感情もその人にとっては自由。
その人が感じる分には自由だと思う。
死にたいという気持ちも、
その人が感じたのならOKでしょ。
他人が四の五の言う必要ない。
まして死にたいとか言う人間は
弱いだの卑怯だの、
その人の人間性を否定するようなこと
言わんでもいいでしょ。
そして、「死にたい」と思う自分をそれ以上責めなくてもいい。
死にたいほど苦しかった
死にたいほど悲しかった
死にたいほど辛かった
死にたいほど悔しかった
死にたいほど恥ずかしかった
そう思っていいし言葉に出してもいいんだよ。
そして、誰かに頼ってね。
死にたいと思う人ほど一人で頑張ってきた人
そう言うと、
「そんな事ないです。
いつも人に迷惑ばかりかけてるし、
何にもできないし役に立たない人間なんです」
「全然頑張ってないです」
っていう人がほとんどなんです。
これ、言い換えると
「一人で何とかしようとしてきた人」です。
物凄いまじめな人です。
自分以外の人や物を優先して
優しく思いやりに溢れた人、
誰にも迷惑かけたくない人なんです。
「死にたい」という気持ちから解放されるには、
手っ取り早いのは
今まで頑張ってきたことをやめる事。
でも、たぶんそれが出来ないから
一人で抱えることになってしまってるんですよね。
だから、せめて心だけは自由にしていてください。
「死にたい」と思う自分を赦してあげてください。
何度でも言います。
心は自由です。
自分の感情に蓋をしないでください。
心の中では
辛い、
悲しい、
苦しい、
悔しい、
妬ましいって
自分が思うのは自由なんです。
